製造業のマーケティングはカスタマージャーニーマップ作成から

製造業でコンテンツマーケティングを始めたい方、改善したい方に、まず初めにお勧めしたいのがカスタマージャーニーの作成です。
なぜなら、カスタマージャーニーマップを作成することで、作成するコンテンツのアイディアが出てきて、さらにそれぞれのコンテンツの作成理由が明確になるからです。

本記事では、製造業マーケティングにおけるカスタマージャーニーマップの重要性から作成方法までを解説していきます。

カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品を買う際の行動(認知→検討→購買)を旅に例えて、顧客の気持ちや自社との接点を整理したものです。

この、「カスタマージャーニーマップ」を作成し、それに適した施策を実施することで「顧客の認知から購買までの黄金パターン」が出来上がるので、戦略的にコンテンツ作成を行いたい場合にとても有効な手法です。

製造業のマーケティングサポートはMarkethinkへ

カスタマージャーニーマップは顧客の”行動”や”気持ち”を想像して整理するところから始まります。
だから、Marketinkでは、製造業のマーケティングを支援するにあたり、”顧客の気持ちがわかる元技術者のマーケター”がサポートします。

製造業でカスタマージャーニーマップを作る理由

カスタマージャーニーマップを作成すると、「問い合わせが来るマーケティングの仕組み」の全体像が見えてきます。

以下に、カスタマージャーニーマップを作ることによる代表的な効果を4つ紹介します。

  1. コンテンツのアイディア出しになる
  2. 作成するべきWebの記事、ダウンロードコンテンツ、Webセミナーなどのアイディアをまとめられます。

  3. コンテンツのつながりが明確になる
  4. Web記事、ダウンロードコンテンツ、Webセミナー間の繋がりが明確になり、動線が引きやすくなります。
    また、バランスよくコンテンツを作成してくことも可能になります。

  5. 顧客の行動と温度感が結びつく
  6. 各コンテンツの温度感が整理できるので、MAツールを使用するとWebアクティビティから顧客の温度感がわかります。

  7. 各温度感の顧客に適切なコンテンツを届けることができる
  8. MAツールで各温度感の顧客にどのようなコンテンツを届けると次のステップに進むかがわかりやすくります。

また、「Google AnalyticsやMAツールによる顧客行動の分析」や「営業からのフィードバック」を踏まえてカスタマージャーニーマップを更新していくことで、常にマーケティングの全体像を関係者で共有して一貫性のあるマーケティング施策を実施できてきます。

製造業のカスタマージャーニマップの作り方

では早速、製造業のカスタマージャーニーマップの作り方について紹介していきます。

カスタマージャーニーマップを3つのステップで作成していきます。

STEP1:前準備(ゴールの明確化)
STEP2:ペルソナの検討 
STEP3:顧客の温度感毎の悩み事/行動の整理

STEP1カスタマージャーニーマップの前準備

まずは、カスタマージャーニーマップの作成に取り掛かる前に明確にしておくべきことを紹介します。

カスタマージャーニーマップは「マーケティング施策のスタート」ですが、目的は「会社のプロジェクトのゴールを達成」するためです。
よって、まずはマーケティング及び会社のプロジェクトのゴールを明確にすることをお勧めします。

・売る物を明確にする

売る物に関して、単純に「製品」と設定するのではなく、顧客視点でもう一歩踏み込んで考えていく必要があります。
製造業の場合、顧客が欲しいのは「製品」ではなく「課題の解決策」である場合がほとんどです。

課題は、技術的なこと、コスト的なことなど色々あるので、「顧客がなぜ自社の製品を買ってくれるのか」を分析して設定してください。
もし、複数の価値があり、それぞれに異なる悩み事を持つ顧客がいる場合には、カスタマージャーニーマップを分けることを検討するのが良いと思います。

・ゴールとステップを明確にする

ゴールですが、こちらはカスタマージャーニマップでどこまでのステップを検討するかです。

マーケティングの観点では「問い合わせ」や「商談化」がゴールですが、ビジネス全体で考えた場合は、営業も合わせた「成約」までをゴールにすることや、成約の後にある「定期購入(ファン化)」までをゴールに設定することも可能です。
これから始める、マーケティングのプロジェクトの一番重要な部分です。
もし、設定がまだであれば、”何が達成できたらプロジェクトを成功とするのか”をベースに設定することをお勧めします。

また、そこに至るステップも洗い出しておきます。
おすすめは、「興味・認知」、「情報収集」、「問い合わせ」、「商談化・デモ」、「成約」というぐらいの粒度です。
問い合わせをゴールとする場合は、3ステップ、制約をゴールとする場合は、5ステップとなります。

・関係者を明確にする

この後、実際にカスタマージャーニーマップを作成していきますが、1人で作成するよりも関係者と一緒に行うことをお勧めします。

カスタマージャーニーマップの作成は、想像のブラッシュアップとアイディア出しが必要になるので、マーケティング観点や営業観点など立場の異なるメンバーで議論やブレンストーミングを行うとより良いものができるからです。
設定したゴールに関係する範囲を網羅する形で関係部門のメンバーをピックアップしてください。

前準備のまとめ

カスタマージャーニーを作成する前の段階で、議論する範囲やメンバーを決める必要がある。
そして、範囲については以下の2点が重要。

  • 自社の製品は何で、どんな価値があり、顧客のどんな悩みを解決することができるのか。
  • カスタマージャーニーのゴールは、「問い合わせ」、「商談化」、「定期購入」などどこにするのか。

STEP2顧客像(ペルソナ)の設定

前準備をしたら、いよいよメンバーで集まって議論を開始しますが、マップの作成に入る前にもう一つやることがあります。

それが、顧客の行動を想像するうえで、より想像が具体的になるように設定する「1人の想定顧客の人物像(ペルソナ)」です。
BtoBの特に製造業では、実在する過去に販売した顧客、または販売したい顧客をペルソナとして設定するのがおすすめです。
なぜなら、共通認識が持ちやすく、実際に話をしているので感情も想像しやすいので、この後の作業が少し楽になります。

ただし、新規事業で、まだ実在する顧客がいないという場合もあると思います。
その場合は、架空の顧客を想像して、以下のような内容を洗い出していきます。

ペルソナ項目例

<基本情報>
 氏名、年齢

<勤務先企業情報>
 会社名、業種、商材、売上高、従業員数

<仕事内容>
 部署、役職、業務の内容、目標、課題、予算

<その他>
 自社製品に対する知識レベル

顧客像(ペルソナ)の設定のまとめ

製造業カスタマージャーニー作成の第一歩は顧客像の作成。

顧客の行動を予測するには、その顧客を想像することが必要になるので、具体的な顧客をイメージしたうえで、すこし突っ込んだ業務の内容や課題、目標を明確にしておくとより顧客の役にたつコンテンツが思い付きやすくなります。

STEP3顧客の温度感毎の考え(悩み事)/行動の整理

・製造業カスタマージャーニーの悩み事の洗い出し

STEP2で作成した顧客像(ペルソナ)に対して、温度感毎の考え(悩み事)を洗い出していきます。

温度感は、「興味・認知」、「情報収集」、「問い合わせ」を基本に、ゴールをどこにするかによっては、その後の「評価・比較」、「稟議」、「購入」、「カスタマーサクセス」「継続利用」なども増やすことをお勧めします。

例えば、自社が、”ネジの検査装置を開発・製造・販売している会社で、顧客像(ペルソナ)に、”ネジの検査工程を含む検査工程全体の効率化の担当者”と設定した場合には、各温度感での悩み事は以下のような内容が考えられます。

温度感 悩み事
①興味認知
  • 検査のコスト削減をテーマにされたが、何から手をつけていいかわからない
  • 現在、検査工程にかかっているコストを見える化するにはどうしたらいいかわからない
  • 検査工程の中で、効率化の効果の高い箇所はどこなのか
  • ネジの検査で重要なポイントは
②情報収集
  • ネジの検査工程の自動化システムに何が必要なのか知りたい
  • 他社はどのようにネジの検査工程を自動化しているのか
  • ネジの検査システムを比較検討するにはどうしたらいいのか
③問い合わせ
  • ネジの検査システムの価格が知りたい
  • 企画書を作るためにネジの検査システムの費用対効果を計算したい

・製造業カスタマージャーニーの行動の洗い出し

では、次にそのような悩み事や考えを持った顧客がどのような行動をするかを洗い出します。

例えば、「検査のコスト削減をテーマにされたが、何から手をつけていいかわからない」の悩み事に関しては、”検査 コスト削減”や”検査 自動化”で検索を行うや、”検査装置の展示会にいく”が想定される行動になります。

ただし、この時にしっかりと自身で顧客の立場になって”検査 コスト削減”で検索してみることが重要です。
例えば、”検査 コスト削減”で検索すると、病院の検査などの情報が上位に出力されてきました。

この時、顧客はどうするでしょうか?
たとえば、”外観検査 コスト削減”や”インライン検査 コスト削減”など、検査のキーワードをより限定的なものにすること考えられます。よって、そこまで行動を想像することが望ましいです。

他の例では、「ネジの検査システムの価格を知りたい」の悩み事に対しては、”ネジ検査装置 価格”や”ネジ検査システム 価格”で検索を行う、ネジ検査装置/システムの問い合わせフォームから価格を問い合わせるなどが行動になります。

このように行動をそれぞれの悩み事ごとに対して、行動を記載していくと以下のようになります。

温度感 悩み事から想定した行動
①興味認知
  • ”外観検査 コスト削減”や”インライン検査 コスト削減”で検索する
  • ”検査工程 コスト 計算”で検索する
  • ”検査 効率化”や”検査 自動化”で検索する
  • ”ネジ検査 ポイント”で検索する
  • 検査装置の展示会に参加する
②情報収集
  • ”ネジ検査 システム構成”で画像検索する
  • ”ネジ検査 自動化 事例”で検索する
  • ”外観検査装置 比較”、”ネジ検査装置 比較”で検索する
③問い合わせ
  • ”ネジ検査装置 価格”で検索する
  • ”外観検査 ROI”、”外観検査 費用対効果”や”外観検査 補助金”で検索する

・製造業カスタマージャーニーの接点・コンテンツの洗い出し

最後に、それらの行動に対して、何が提供すると顧客の助けになるのか、また自社との接点を持てるかということを洗い出します。

行動の洗い出しで例にだした「”外観検査 コスト削減”で検索を行う」という顧客の行動に対して取るべき施策は、”外観検査の自動化によるコスト削減。メリットとデメリット”という記事の作成があげられます。
この記事を”外観検査 コスト削減”で上位表示させることができれば、顧客になる可能性が高い人を自社のサイトに呼び込むことができます。

すると、同じようにさまざまなアイディアが出てくると思います。

温度感 行動から想定した施策
①興味認知
  • 記事:外観検査の自動化によるコスト削減。メリットとデメリット
  • 記事製造原価における検査費用の割合は?計算方法も解説
  • 記事:外観検査自動化で抑えたいポイント5選。
  • 記事:ネジ検査の項目と手順を徹底解説
  • 展示会:検査装置の展示会への出展
②情報収集
  • 記事:事例で見るネジ検査のシステム構成
  • 記事:ネジ検査装置の選び方
  • ホワイトペーパー:ネジ検査装置の比較結果
③問い合わせ
  • ホワイトペーパー:ネジ検査装置の価格表
  • 記事:外観検査の費用対効果を計算してみた
  • 記事:外観検査の導入に使える補助金とは

あとは、ここで出たアイディアをGoogle キーワードプランナーなどを用いて検索需要を調べながらブラッシュアップするとともに、優先順位付けをして実装していくという流れになります。

今回は例として、記事を書きながら簡単に考えただけのものになりますが、実際には実際に営業した感触などを踏まえて作ることや、後から分かった内容を踏まえてどんどん改善していくことでよいカスタマージャーニーマップに仕上げていくことも重要です。

カスタマージャーニーマップのまとめ

想定した顧客像(ペルソナ)が検討のステップで「どのような悩み事を持つか」、「その悩み事に対して、どういった行動をするか」を洗い出すことで、その行動に対して接点になる施策をまとめることができます。

製造業カスタマージャーニーマップのまとめ

カスタマージャーニーマップは、顧客の悩み事や自社との接点を温度感別にまとめたものです。
製造業のマーケティングにおいて、施策のアイディア出しに非常に役に立つので、まずはじめにカスタマージャーニーマップを作成することをお勧めします。

カスタマージャーニーマップを作成するには、顧客の悩み事や行動がポイントになります。
Markethinkでは、元半導体エンジニアがカスタマージャーニーマップの作成から、施策の実行までをお手伝いします。
詳しくは、ぜひお問い合わせください。

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